感傷
- 青央つかさ
- 2020年7月30日
- 読了時間: 3分
軽くR-18
こんな男のどこがいいかなんて、私には分からない。だけど、抱かれている時だけは愛されてる気がするし、この人に溺れてしまいたいとすら思える。
彼のものが私の奥へ突き刺さる度に、私は荒く吐息を零し、声を上げる。男性経験はそんなに無いが、多分人より大きめのそれは私の中を抉り快感を引きずり出すには充分だ。
気持ちよくて、何も考えられなくて、愛しさで溢れて、そんな私の顔はきっと快楽で醜く歪んでいる事だろう。
奥を突き上げたと思うと、入り口付近をぐりぐりと撫で付けてきたり、どちらの刺激も弱い私はそれだけで軽く達する。
彼の眼はギラギラと光り、私を見つめる。なんて男らしいのだろう、今日の彼はいつもよりなんだか激しい。
私の腰を掴んでいた手が、頬へ伸び指先で優しく撫でられた。下半身の動きとは真逆な行為にドキ、と胸が疼く。その手に擦り寄りながらも、私の声は止まらず、感極まって涙まで流してしまう。
「愛してる、愛してるの、ごめんなさい。貴方の事、愛してるの……」
小さな呟きに彼のものが硬くなるのが分かった。と同時に、頬を撫でていた手が首元へ伸びると、幸せの余韻に浸っていた私の首を思いきり絞めてきた。
「っ、あ、あ、ん……っ」
苦しい、苦しい、苦しい。彼の手首を掴みその手を解こうとするが、力では勝てない。
「あっ、ん」
目の前がチカチカしてきた。このまま意識が薄れるのではないかと思う程の力で絞め付けられているのに、何故だろう、苦しさの中に快感を見つけてしまったのは。
苦しいのに気持ちいい、私のあそこもぎゅっと締まり、すると彼も気持ち良さそうに小さく声を漏らした。このまま死んでしまってもいいかもしれない、そう思い始めた時、唐突に首への力が緩んだ。
急に意識が戻り、現実へと返される。下半身への刺激が改めて私を昂らせ、一気にそれは来た。
「やだ、やぁ、怖い、何か来る。来るの、怖い」
得体の知れない快楽が体中を駆け巡り、恐ろしささえ感じた。彼の肩をぎゅっと掴み、堪えようとするのだが、許さないとばかりに彼の動きが性急な物へと変わる。
「あ、あぁっ、来ちゃう、来ちゃうのぉっ、ああぁ……」
一番奥を抉られ、全身をビクビクと痙攣させて、呆気なく果ててしまった。それなのに、彼は容赦なく腰を更に激しく突き動かしてくる。
こんなの、知らない。いつもと違う。言葉は喘ぎに取って代わり、私は再び果てる事になる。
胸をぎゅっと掴まれ、乳首を痛い程に摘ままれる。もうここまで来ると、痛みすら快感へ変わってしまう。
「もっと、もっとして、ねぇ、ちょうだい」
自分でも何を求めているのか、最早分からなかった。とにかく彼が欲しかった。彼のすべてを自分の中へと取り込みたかった。
彼も限界が近いのだろう、顔を歪め、腰を大きく揺する。
「いいよ、来て、このまま、中に出して」
脚を腰に絡め、奥へ奥へと誘う。彼のものでいっぱいにしたい、それだけが頭の中を巡っていた。
イクよ。そう囁かれ、私は歓喜に震える。私だけのもの、私だけの彼、私だけの……
ぎゅっと抱き締められ、彼のものがドクドクと脈打ち、中に温かな感触を感じた。あぁ、私の中に彼が入り込んできた。幸せでいっぱいだった。
長らくそのままの状態で、二人で余韻を楽しむ。首筋に顔を埋め、ちゅ、と口付ける。
こんな男のどこがいいのかなんて分からないけど、やはり抱かれてる時は愛しさが溢れて堪らないのだ。惚れた方が負けでいい、今はこの男の温もりを感じていたい。
END
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